ものかき夢想

ひたすらものかき

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【SS】好きな数字

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「羽曳野くん、好きな数字は何かしら」 「なんですか和泉さん突然。しかもさり気なく五七五調。僕は今日の晩ご飯の献立を考えるのに忙しいんですよ」 「そんなの後でもできるでしょうに」 「もう17時過ぎてるから遅すぎるくらいなんですよ。今月ピンチだから…

【SS】扉の向こう

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私は入院することになりました。 一時は生死に関わるほどの重体だったそうなのですが、今では院内を回れるほどにまで回復しました。とは言っても、まだ退院できるほどではないそうなのですが。あれほどのことがあったにも関わらず生きているのが不思議なくら…

【SS】夢の中

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その日、私は夢を見ました。 長い、長い廊下にひとり立ち尽くしていました。周りは薄暗く、寒くも暑くもありません。窓も扉も一切無く、出口が見えない廊下。床は、リノリウムというのでしょうか、妙に光沢のある硬い床です。リノリウムということは、ここは…

【SS】本の世界

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仕事が終わり、家に帰り、食事や風呂もそこそこに、私は机に向かった。 机に向かったらまずやっている"日課"がある。その日の起床から現在に至るまでを思い返し、何があったか、何をしてきたか、お金の収支やその日の気分等々を机に向かってなんとなくノート…

【所感SS】電子書籍について

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放課後のとある教室。外の喧騒からかけ離れた空間に、2人の男女が各々の世界を創りあげていた。背の高い男性は黙々と先人の知恵を詰め込み、背の低い女性は文明の利器をぺたぺた触っていた。 「ねぇ先輩」 「なんだ」 "先輩"と呼ばれた男は顔を上げずに意識…

【お題SS「炊飯器」】ふたりの食事

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「食は、人の心を豊かにする。 本来"食事"という行為は食欲を満たすものであるが、家族や友人ら、恋人らと色とりどりの食卓を囲むことは、食欲以外にも心的な欲求を満たす役割を果たしているらしい」 「……はぁ」 「冷凍食品を腹いっぱい食べても、何か物足り…

【SS】その瞳に映るもの

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「…………うるさい」 「へ?」 ある夕暮れの教室、2人の高校生が黄昏に紛れて思いおもいの時間を過ごしていた。背の高い男性は椅子に座って新書本と見つめ合い、背の低い女性は紅茶を飲みながらスマートフォンと戯れている。 「先輩どうしたんですか?何がそん…

【SS】あなたの趣味

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「せんぱーい、おとどけものでーす。あげませんけど」 「どういうこったい。……なんだいそれは」 「フィギュアです!あげませんよ?」 「いらんよ。そういうのは自分の部屋にかざりなさい」 「えー、いいじゃないですか。この部室、本ばっっっかりで全然かわ…