ものかき夢想

ひたすらものかき

夫の私が名字を変更して面倒と思ったことを6つくらいにまとめてみた

夫婦別姓がどうこうと騒がれる昨今、いかがお過ごしでしょうか。

 

さて、実は先日結婚したのですが、私が婿入りする形での入籍となりました。つまり名字を変えたのは妻ではなく夫の私、なんですね。

「氏名変更をするくらいなら別姓のままで過ごす」という人もいるくらいですが、私自身今ひとつピンときておりません。そんなん、役所でチョチョイと変えるだけやん?と思っていました。以前まで。しかし、決してそんなことはなかった。

今回は私が氏名変更に際して如何に面倒であったかを以下にまとめます。

 

1.婚姻届提出

ここで氏名が変わります。が、この段階でお役所仕事によりえっっっらい時間待たされました。平日の昼間なのに1時間強くらい待ったかと思います。仕事の昼休みにサッと行ってサッと手続き、なんてできません。やろうと思ってましたが念の為に仕事休んでよかった。本当に。

 

2.銀行口座・クレジットカードの氏名変更

旧姓のままでは具合が悪いので当然氏名変更の手続きを踏みます。銀行の場合は窓口で書類に記入する必要があるために、平日勤務の場合はここでも休みを取る必要があります。更に新姓・旧姓両方の印鑑も必要になるのも面倒です。当然っちゃ当然なのですが、やはり面倒。あまりに面倒なので新たに口座を開設するのもアリかと。

 

3.保険証の再取得

私は会社勤めなので国民健康保険の場合はわかりませんが、社会保険を利用されている人は会社への申請も必要になります。会社によって変わるでしょうが、私の場合は申請して1週間以上かかりました。いつ必要になるともわからないのでお早めに。

 

4.会社での呼ばれ方

結婚してから名字が変わると決まって私がまず考えた懸念点です。絶対違和感があるし、呼び方変えてもらうのも周りにとってストレスかなと思いました。ので、会社では旧姓を名乗っております。だって、名字変わったらメールアドレスとかも変えなきゃいけないし。旧姓呼びに寛容な会社で助かりました。

 

5.日本学生支援機構への氏名変更

20代での結婚となると、大学時代での奨学金返済がまだ残っている人もいるかもしれません。日本学生支援機構への氏名変更も必要でしょう。登録口座の氏名変更も忘れずに。私は今しがた思い出しました。

 

6.Amazonとかの氏名変更・クレジットカード情報の変更

旧姓で届いても問題ないっちゃあないです。が、気持ち悪いので早めに変更しておきましょう。それよりもクレジットカード情報の変更を優先しましょう。クレジットカードを利用している人はカードの氏名変更の際にカードそのものも変わっているはずなので、カード情報の変更を忘れずにやっておきましょう。これやり忘れて荷物が届けられないエラーが生じました。

 

ざっとまとめてみました。特別面倒だったのは銀行やクレジットカードの「新たにカードを発行する類」の手続きですね。申請してからすぐに手に入らないことが殆どなので待っている間の所作も面倒ですし、当然手続きも面倒です。こりゃあ夫婦別姓でいいやってなるのも頷けるレベルでした。私は同姓を選びましたが。ここまで経験しないと面倒臭さは多分わかりません。別姓の選択肢があってもいいと思いますよ、私自身は。

 

 

お前ら全員めんどくさい!(1) (メテオCOMICS)
 

 

たいせつなもの

RPGをプレイしているとよく見かける「たいせつなもの」。ボスを倒したりクリアまでの障害を突破するために必要であるなど、大体の場合において物語の進行に不可欠なアイテムであることが多く、そして捨てることができません。

ゲームの中のみならず、我々の中にもそういった「たいせつなもの」が存在すると思います。それは物であったり概念であったり考え方であったり、実に様々でしょう。

私にも「たいせつなもの」が幾つかあるのですが、その内のひとつに手帳があります。

 

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ほぼ日手帳です。こちらです。

ある日ふらっと寄ったLOFTで偶然見つけました。落ち着いたデザインで飽きが来ず、サンプルの手触りがとても良かったので一目惚れしました。しかしお値段が6800円と他に比べて3000円ほど高かったのです。当時お金をあまり持っていなかった私にとってそれは非常に悩ましい値段でした。それまでの私はろくに手帳を上手に扱えた試しがありません。きっと宝の持ち腐れになってしまうと思いました。

しかし、当時の私はその一目惚れしてしまった手帳からなかなか目を離すことが出来ずにいます。どうしよう。いつもの私は1日時間を置いて頭を冷やしてから決め直します。が、その時の私はそう出来ませんでした。というのも、手帳の残りがあと1冊しかなかったからです。明日にはとんでもなく欲しくなっても、明日にはなくなってしまうかもしれない。しかしお金はあまりない。買ってしまうとしばらくひもじい生活が待っている。どうしよう。

物を持つなら気に入った良い物を。手帳を良い物にしたら私の手帳持ち癖もきっと長続きするだろう。そう半ばこじつけて購入しました。ずっと手元に置いておくのに妥協したデザインの手帳はあまりにもやるせない。無駄になったらその時に考えよう。来年までにお金を貯めてもっと良いデザインのがあれば余裕をもって買ってやろう。買った直後はそんな事を考えていました。

 

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しかし次の年になっても、その次の年になっても、このデザインに勝るデザインの手帳カバーは現れませんでした。「これより良いデザインはあるかな」とワクワクしながら探し、結局見つからない年が続きました。

そして最近になって手帳カバーに対する考え方が少し変わってきました。ほぼ日手帳は毎年素敵なデザインのカバーをリリースしてくれます。カバーを比較する際、私が今持っているそれは、デザインの良さに加えて「今まで私と共に歩んできた時間」が付加価値として付け加えられている事に最近になって気が付きました。当然ですが新しいカバーに付け替えるということは、今まで私と共にいてくれたカバーとお別れすることでもあります。何年も私の側にいてくれたこいつを捨ててまで付け替えるべきカバーか?と問うようになりました。当然答えはNOです。

 

仕事中もずっと携帯しています。ハイクオリティな手帳の使い方とか以前ほどは考えなくなり、必要な時に必要なだけ書くことができる安心感が私の心を心地良くしてくれます。しかし何も書かない日があると少し勿体無い気がしてくる、そんなビンボーショー。

 

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今年で4年目。フチや栞の先端がボロボロになってきたので補修が必要かなと思っています。ほぼ日手帳の公式サイトでは修繕サービスもやってくれているみたいなのでそろそろ出してみようと思います。

絶対に捨てられない、私の人生に必要不可欠な「たいせつなもの」です。

 

 

大切なもの

大切なもの

 

 

在りし日の書店員あるいは本屋に求めるもの

若者の読書離れが叫ばれる昨今。紙の本が電子に食われると憂える昨今。僕はそれでも本を読み、その世界に没頭した。小学校で偶然であった夢水清志郎に惚れてから、吉川英治が描く宮本武蔵に心踊り、アガサ・クリスティが展開する密室トリックに取り憑かれ、かれこれ20余年経つ。

あれは確か僕が大学生の頃、ちょうどミステリというミステリを片っ端から読んでいた頃だったと思う。毎日のように本屋へ通っては新たなミステリを買い、読み耽っていた。Kindleがまだ日本へ上陸する前だったから本棚に本が溢れかえり、しかしその光景が大好きな僕は、本の壁を日がな築いていた。

 

 ◇

 

確か駅前の本屋だったと思う。その時の僕は創元推理文庫推理小説を読み耽っていた。知ってる人は知っているレーベルだが、それでも大手出版社とは違いマイナーなので値段が比較的高い。陳列している冊数も少なく、置いていない本屋も少なくない。僕はその創元推理文庫の本を駅前の本屋へ求めに行った。

しかし見つからない。当然だ。さっきも言ったように下手すると置いていない本屋も珍しくない。普段は自力で探しだせなかったらAmazonへ逃げる僕だったが、駅前という立地上、どうしても実際に手に取れる環境を求めたかった。僕は近くで本棚の整理をしていた女性の(おそらく僕と同年代、20代前後)書店員に声をかけた。知らない人と喋ると否応なしに手に汗が滲む僕が自ら知らない人に声をかける、どれほどの勇気であったか想像に難くない。

僕が声をかけるとその書店員はこちらに顔を向けた。声をかけてから気づいた。いくら書店員といえど、あまりメジャーでない創元推理文庫の存在を知っているのだろうか?店員である以上、わからない場合は何かしらのツールで調べてくれるだろうが、その人が知らない事を聞くのがなんだか申し訳なく感じてくる。しかし既に声をかけてしまった以上はもう引き下がることはできない。求めている本、創元推理文庫の陳列棚の所在を尋ねた。

するとどうだ、仕事に疲れていた彼女の顔がみるみるうちに明るくなり、僕をある本棚へと案内し始めた。ずんずん歩く彼女は後ろから見ても楽しそうに見えた。自分が好きなカテゴリについて聞かれた時ついつい暴走してしまう、そんな感じだった。この人は僕と同じように、創元推理文庫が好きなのかもしれない。僕と同じように、ないかもしれない本を本屋で探し求めた経験があるのかもしれない。僕と同じように、探していた本を見つけられた喜びを知っているのかもしれない。結局は予想だが、ただひとつ確実なのは、この人は僕と同じく、本が大好きなのだということ。

創元推理文庫の棚は無事に見つかった。簡単にお礼をすると、書店員は笑顔で自分の持ち場へ戻る。僕はその本棚の中から気になっていた本を手に取り、帰った。

 

 ◇

 

あの日の出来事は僕の中で今も根強く残り続けている。今は昔と違い、電子書籍での書籍の流通が盛んになっている。やろうと思えば誰でも本が出版できる。電子だからこその強みが如実に現れているといえよう。しかして紙にも紙の良さがある。何より書店員との交流がある。僕が、あるいは本好きが求めているのはそういうところにあるのかもしれない。

 

 

月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫)

月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫)